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日本語教師の皆様のための 『授業に役立つ小さなアイデア集⑧ー教案の作り方【続】ー編』

日本語教師の皆様のための 『授業に役立つ小さなアイデア集⑧ー教案の作り方ー編』

『教案の作り方シリーズ』の、今日は「導入」です。

過去の記事はこちらにあります。
http://naruhodo-nihongo.com/?p=2024⑤
http://naruhodo-nihongo.com/?p=2051⑥
http://naruhodo-nihongo.com/?p=2058⑦

 

1.「ウォーミングアップ」
2,「導入」←(今日はここです)
3.「導入確認」
4.「文法のポイントと形の確認(練習A)」
5.「ドリル(練習B)」
6.「ミニ会話(練習C)」
7.「応用/展開」

【2. 導入】

導入の定義づけは以下の通りです。
(この定義づけは、教師によって、学校によって違いがあるかと思いますが、私なりの定義づけと認識していただければと思います)

【目 的】
「その日の授業のゴールの提示」(=目的の提示)

 

【内 容】
①教師演技型
②学習者参加型

どうぞご参考下さいませ。

 

今日も簡単です♬

①教師演技型
<例:〜たことがあります。>

こちらは、以前の記事と同じ内容になりますので、こちらをご参考下さいませ。

『生チョコを食べたことがありますか』って、「経験」を教えたことがありますか?

http://naruhodo-nihongo.com/?p=1941

こちらの記事にある「母/子」「A/B」を一人二役で演じる、ということになります。要は、教師の一人芝居を学習者の皆さんが観劇?!する、という感じです。学校によっては、「導入中は生徒を巻き込んではいけません」というようなルールを作っている学校もあるようです。(と、聞いたことがあります)そのようなルールがある学校では、この「教師演技型」で導入を行うことになると思います。

*「場面」(=5W1H)を最初に説明して、それから演技に入ります。
(ここは、結構大切ですが、忘れる方も多いところです)

T:「皆さん、この絵を見て下さい。ここは福岡の天神です。夕方4時です。私と娘は、散歩をしていました。〜」

というように、まず、「いつ、どこで、誰が、何をしているところなのか」という場面をはっきり提示して、教師と学習者の皆さんの頭の中にイメージされる映像を統一します。ここを飛ばすと、せっかく準備した導入も「???」と、もったいないことになってしまいますので、この最初の「共通のイメージ作り」というのはとっても大切です。

STEP1. イメージの共有(絵や写真、レアリアなど、共通イメージ=場面を作るもの)
STEP2.   教師のお芝居

 

②学習者参加型
<例:〜てもいいですか>

T:「あら、Sさん。そのペン、かわいいですね。どこで買いましたか?」(さりげなく、生徒達の所持品を見ておく)

S:「これは、ダイソーで買いました。」

T:「そうですか。かわいいですね。ちょっと見ます、いいですか?」(ここでは、まだ「〜てもいいですか」は、出さない)

S:「はい、いいですよ。どうぞ」

T:(見る)「わ、かわいい色ですね。ちょっと書きます、いいですか?」(ここもまだ出しません)

S:「はい、どうぞ。」

T:(書く)「わ、いいですね〜。Sさんは、ピンクが好きですか?」

S:「はい、好きです。」

T:「はい、ありがとうございました。」(と、返す)
(ボードに、「見ます、いいですか = 見ても いいですか」「書きます、いいですか = 書いても いいですか」を板書するか、前もって書いていた物を貼る)

「はい、皆さん、見て下さい。「見ます、いいですか」は「見てもいいですか」。「書きます、いいですか」は、「書いてもいいですか」今日はこれを勉強します。て形+も いいですか、の形です。」

S:「は〜い」

T:「では、一度読みましょう。」と言って、一度リピートする。
「S2さん、そのノート、かわいいですね。見てもいいですか。」

S:「はい、どうぞ」

T:「ありがとうございます。わあ、たくさん日本語を勉強しましたね。すばらしいですね〜。」

S:「でも、字が上手ではありません。。。」(こういう返事をしてくるケースも結構あります)

T:「いえいえ、上手ですが、これからも練習しましょうね。」

S:「はい、がんばります。」

T:「S3さん、その服ステキですね。日本で買いましたか?」

S:「いえ、ベトナムで買いました。」

T:「そうですか。ちょっと着てもいいですか?」(もし、この例がふさわしくない時は、生徒がちょっと困りそうな別のお願いをする、という代替案でも大丈夫です)

S:「え!先生、着ますか?え〜」

T:「すみません、ダメですよね^^;。では、S3さん、こう言って下さい(or これを言って下さい)。」
「すみません、ちょっと・・・」いいですか?

「S3さん、その服ステキですね。ちょっと着てもいいですか?」(もう一度先ほどの場面に戻った会話から繰り返す)

S:「すみません、ちょっと・・・」

T:「はい、ありがとうございます。」
と言って、今度は応答の仕方を板書or貼る。
例)〜てもいいですか。 はい、どうぞ/すみません、ちょっと+口頭練習をする

 

そして、またリピートをする。

というような2つの導入を書いてみましたが、いかがでしょうか?
上の「教師演技型」は、別のページにも書きましたが、

Step1.  日常生活の場面をそのまま思い出す
Step2.  語彙コントロールをする(流れはStep1のままで、言葉だけコントロールする)

の流れで作ると、バッチリ!のものができます。

そして、「学習者参加型」は、普段から学習者の情報や持ち物などを意識して知っておくことが大切です。学習者の皆さんとしても、先生が自分達のことに関心を持ち、興味を持っていてくれることはとても嬉しいことですよね。

上の「その日の授業のゴールの提示」(=目的の提示)という定義づけから考えると、「教師演技型」は、「今日の授業の最後には、これができるようになっているんですよ〜」というゴールの提示、という定義には、より、近い形だと思います。

「学習者参加型」の方は、学習者の皆さんも、導入の主体者?!として、参加しながら、気がついたら「ぽんっ!」と、知らなかったことが無理なく知れた、という自然な入り方になります。「いつもまにか〜」という、教師も学習者の皆さんも、無理のないハードルを低めに越えられた、という感じです^^; 身構えずに教えられて、身構えずにわかっちゃった、というような感覚でしょうか^^;

以上です。

いかがでしょうか?

導入に対して
「養成講座の実習でダメだしされてつらかった〜><」とか、「導入が苦手で〜><」という話を本当によく聞きます。
上のいずれかが、皆さんにとって「あれ?最近、導入考えるの楽しくなっちゃったな〜^^」と思っていただけるアイデアの1つになってたらいいな、と思います。

次回は 3.「導入確認」 を掲載したいと思います。
では、明日からの授業に、少しでもお役に立てますように。

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